CINEMA MOND【シネマモンド】

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白夜 | 恋に揺れる四夜の出来事

奥ゆかしく美しい幻の映画

白夜

白夜』(Quatre nuits d’un rêveur/1971/フランス・イタリア)
監督:ロベール・ブレッソン 出演者:イザベル・ヴェンガルテン、ギョーム・デ・フォレ

夢見がちな青年と無邪気で気ままな彼女。

派手ではないけど、とても美しい映画です。70年代パリの街並みはうっとりするほど美しいし、突然挿入される音楽も面白い。セーヌ河畔とポンヌフ(セーヌ川にかかる橋)を背景に撮影された映像はヌーベルヴァーグっぽさもあり、個人的にも好みの映画でした。主役の2人とも演技経験がないということで荒削りな感じがあるけど、それも映画の雰囲気に合っていて良かった。(プロの俳優ではなく素人を起用するのがブレッソン流なんだとか。)

白夜
あらすじ:四夜で恋が始まり終わります。

第一夜、画家の青年・ジャック(ギョーム・デ・フォレ)は、ポンヌフでマルト(イザベル・ヴェンガルテン)という女性と出会います。第二夜、彼らはお互いについて会話します。ジャックは素敵な女性との恋の妄想をテープレコーダーに吹き込むのをライフワークとしていて、マルトは「結婚できる身分になったら一年後に会おう」と言って去っていった恋人が現れるのを待っていました。ジャックはマルトへの恋心を隠して彼女を応援します。が、三夜目になっても男は現れません。そして四夜目…。


見どころ
  • 70’sパリの美しい街並み
  • 少ないけど音楽も良い
  • 恋ってあっけない

ドストエフスキーの短編小説を映画化した作品です。ルキノ・ヴィスコンティによるイタリア版『白夜』もありますが、こちらはフランス・パリを舞台にした『白夜』。71年に初公開されて以降はフランスでも上映されることが稀で、日本では78年に公開されてから、ビデオ化もDVD化もされていないという幻の作品だったそうです。そんな本作ですが、去年リバイバル上映が叶ったということで観ることができました。

ストーリーは単純です。「大人の恋の映画」と謳ってあったけど、わたしはむしろ幼い恋の話だと感じたな。夢見がちな青年と無邪気で気ままな彼女の「恋愛ごっこ」。ジャックは惚れっぽくて、いわゆる「恋に恋している」感じがあるし、マルトは移ろいがちで身勝手だ。けどそもそも恋ってエゴイスティックなものだし、観終わったあとに感じたあの”あっけなさ”は、恋というものの真意をついているのかもしれない。ロマンチストな男性とリアリストな女性というのも。

映像はとても美しいです。夜のセーヌ川が醸し出すロマンチックな雰囲気を楽しめます。ポンヌフで出会うというのもドラマチックで良い。それから音楽シーン。バンドを乗せた遊覧船が通ってそこで演奏する音楽が聴こえてくるなど、ただのBGMじゃないところが面白い。そして、そんな印象深いシーンを思い出していると不思議とだんだん好きになる、そんな映画です。

最後に、配給元のエタンチェという会社は、この作品を上映するために立ち上げられた会社だそうです。15年前にパリで見た本作が忘れられず、国内で上映するために会社まで興したというのがすごい!調べてみたら、その後も何作か配給しているっぽいです。配給会社で映画を選ぶ、ということをしたくなりました。白夜』のサイトも作品を理解して雰囲気を作ってある感じで非常に愛を感じます!いつかまた観たいなぁ。

[Photo: © 1971 Gian Vittorio Baldi]

こちらが原作です。

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