幸せはシャンソニア劇場から | ノスタルジックな音楽にのせて
古き良きヨーロッパの群像劇
『幸せはシャンソニア劇場から』(Faubourg 36/2008/フランス・ドイツ・チェコ)
監督:クリストフ・バラティエ 出演者:ジェラール・ジュニョ、クロヴィス・コルニアック、カド・メラッド、ノラ・アルネゼデール
幸せのままで終わってくれと願ってしまう。
邦題がちょっと狙い過ぎな感じも否めませんが、とっても良い映画でした。前情報なしでの鑑賞だったけど、意味ありげに陰鬱な冒頭からぐいっと引き込まれました。細部まで丁寧に作り込まれていて、『ニュー・シネマ・パラダイス』や『ライフ・イズ・ビューティフル』のような、古き良きヨーロッパの雰囲気が楽しめます。これは劇場で観たかった!
あらすじ:劇場(仕事)を取り戻せ!
1936年、フランス・パリの下町にあるミュージックホール・シャンソニア劇場は人々から愛されていましたが、経営不振でとうとう閉館してしまいました。それからというもの、従業員だったピゴワル(ジェラール・ジュニョ)やミルー(クロヴィス・コルニアック)は働かなくなってしまいました。ある時、ピゴワルは定職に就いていないという理由で、息子(マクサンス・ペラン)の親権を離婚した妻に取られてしまい、他の仲間と共に劇場を再建しようと立ち上がります。
- ノスタルジックな人情劇に魅せられる
- 悲劇と喜劇の両方の側面がある
- ミュージカルシーンにぐっとくる
閉館してしまった劇場の再建物語というシンプルなストーリーながら、そこに絡まってくる人々や事件によって複雑な群像劇が描き出されます。劇場メンバーはクセのある人揃いだし、息子・ジョジョは可愛らしい!人情味の溢れる下町の人たちとのやり取りも微笑ましくて良いです。
ミュージカルがとても効果的に挿入されています。息子がアコーディオンを弾きながら現れてピゴワルと再会するシーンは本当にぐっとくるし、後半の、ついに劇場がうまく回り始めたぞって時の舞台上のミュージカルシーンはゾクゾクするくらい楽しかった!全体としては悲劇の映画であるけど、舞台のシーンなんかは喜劇の側面もあって面白いです。お願いだから楽しいままで、幸せのままで終わってくれと願ってしまうけど、とても切ない悲劇的な結末。あの陰鬱な冒頭に繋がっていくのです。
[Photo: © 2008 Cos Aelenei]
幸せだけじゃないけどね。
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