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シェルブールの雨傘 | レコードを聴くように鑑賞する

上質な音楽が堪能できる名作ミュージカル

シェルブールの雨傘

シェルブールの雨傘』(Les Parapluies de Cherbourg/1964/フランス・西ドイツ)
監督:ジャック・ドゥミ 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ニーノ・カステルヌオーヴォ

怒りも悲しみもメロディーに乗せて。

この映画に出会ったのは大学時代のフランス語の教科書でした。その教科書では写真がすべて白黒で印刷されていたので、わたしはずっとモノクロ映画だと思っていたのです。実際に映画を見てみてカラーだったときには本当にびっくりしました。それも遊び心のある鮮やかな配色!話の内容からしてシックなイメージしかなかったので度肝を抜かれました。しかも、なんて暗い話なんだ…と思っていたストーリーはすべてミュージカル。言い合いのシーンだって軽快なメロディーに乗せられると楽しくなってくるものです。なんで最初に映画を見せてくれなかったんだよ先生…めちゃくちゃ素敵な映画じゃないの…!

シェルブールの雨傘
あらすじ:幸福なカップルが戦争によって引き裂かれます。

時代はアルジェリア戦争のまっただ中、舞台はフランスの港町シェルブール。恋人同士である雨傘店の娘ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)と自動車整備工のギー(ニーノ・カステルヌオーヴォ)は幸福な日々を送っていました。しかしギーに召集令状が届き兵役に発ってしまうことに。ギーの帰りを待つジュヌヴィエーヴでしたが、戦争は次第に激化しギーからの手紙も途絶えがちになってしまい、とうとう彼女は別の人からの求婚を受け入れてしまいます。


見どころ
  • カトリーヌ・ドヌーブって若いときこんなに美しかったんですね
  • テーマ曲は映画の名曲
  • 鮮やかな色彩のインテリアやファッション

カトリーヌ・ドヌーブを一躍有名にした本作ですが、若いドヌーブ恐ろしく美しいです。ジュヌヴィエーヴは身勝手な娘だなと思いますがこんなに美しかったらゆるす!しょうがない!そりゃあ男性がほっとくわけないよね。お金だって援助するし他人の子だって育てるよ。うん。

全編ミュージカルという思い切った作りのおかげで、物語の内容はなかなか重いながらもさらっと見れます。最初から最後までぜんぶ歌います。といっても詞を歌っているというより、セリフを曲に乗せて発しているといった方がしっくりくる感じ。ミシェル・ルグランの作ったこの映画のテーマ曲は色んな人にカバーされていて有名ですね。

ドゥミ映画の特徴でもある鮮やかな色彩も魅力です。道を行き交う色とりどりの傘を真上から撮影したオープニングでまず心掴まれます。そして全編を通してインテリアやファッションの配色の美しさに惚れ惚れ。わたしが教科書でこの映画を「読んだ」とき、”ミュージカル”と”色彩”というこの映画の魅力である2大ポイントを削いでいたものだから、まったく魅力を感じなかったわけです。この映画は「読む」ものではなく、聴いたり観たりして感覚的に楽しむものです。

[Photo: © 1964 Ciné-Tamaris]

モナムール。

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