CINEMA MOND【シネマモンド】

おすすめ映画とDVD。フランス映画好き。

おすすめ映画とDVD*CINEMA MOND【シネマモンド】

橋の上の娘 | これは愛ってことで

どこを切り取っても絵画のように美しい

橋の上の娘

橋の上の娘』(La fille sur le pont/1999/フランス)
監督:パトリス・ルコント 出演者:ヴァネッサ・パラディ、ダニエル・オートゥイユ

ルコントは素敵な変態。

好きな映画に順位をつけるのは非常に難しいけど、「好きな映画は?」と聞かれてまず答えるのがこの映画です。ジャンル的にはミュージカルとかファンタジーものの方が好きなわたしが、このディープな恋愛映画に魅了された大きな理由は圧倒的な映像の美しさです。白黒で描き出される華やかで官能的な世界、そしてなんといってもヴァネッサ・パラディの美しさよ!橋の上から始まり橋の上で終わるという物語のおさまりも美しい。美的に優れた映画です。

橋の上の娘
あらすじ:人生に絶望した男女が偶然出会ってコンビを組んだら大成功。

セーヌ川にかかる橋の上から飛び込み自殺をしようとしていたアデル(ヴァネッサ・パラディ)。そこに偶然通りかかった曲芸師のガボール(ダニエル・オートゥイユ)。彼もまた人生に絶望していました。そこで彼はアデルを説得して、自身の曲芸であるナイフ投げの的になってもらうことにします。コンビは大成功で2人は大金を手にすることに。一方、惚れっぽいアデルは行く先々で違う男にふらふらふらふら…。とうとうコンビを解消してしまうと同時に2人ともツキに見放されてしまうのです。


見どころ
  • 白黒の映像美
  • ヴァネッサ・パラディの魅力爆発
  • さりげなく音楽も良いよ

マイナスとマイナスで化学反応を起こしてプラスになったのか、死ぬ気でやったら上手くいったのか。奇跡の(危うい)バランスで成り立つ男女の話です。確かに恋愛映画なんだけど、劇中の2人の関係は恋人というようなものではありません。友人でもないし、仕事のパートナーというのが近いけどもっと深いところで繋がっているような、究極の信頼関係といった感じかな。なんたって相手に命まで預けているわけで。

髪結いの亭主』や『仕立て屋の恋』でも濃厚なフェティシズムを爆発させているパトリス・ルコントですが、キスシーンもなしにここまで官能的な映画を撮れるのはさすがです。褒め言葉として「変態」と言いたい。生死を賭けたナイフ投げのシーンは下手なベッドシーンよりもずっと官能的でドキドキします。

しかも、外見やしゃべり方が幼くてグラマーとは正反対って雰囲気のヴァネッサ・パラディがそれをやるというのが最高に良い!絶望的に男を見る目がない残念な女役もハマってます。ダニエル・オートゥイユべアールの元旦那ですけど、個人的にはフレンチラブロマンスの常連のイメージがあるのでナイスなキャスティングです。

2人の関係は愛だったのか?愛を渇望して誰とでもヤッちゃうアデルに指一本触れることなく恍惚を与えるガボール。まさに奇跡のバランスだった。他の人では成り立たない関係だった。少なくともわたしは、これを表現するのに「愛」という言葉しか思いつきません。

ルコント映画はさりげなく音楽が良いのも魅力です。この映画でも『Sing, Sing, Sing』が印象的。どうしてサントラ出てないんだろう!調べてみたら、劇場前売券とセットで販売された非売品のCDが存在するそうです。ほ、ほしい…!

[Photo: © 1999 STUDIOCANAL – France 2 Cinéma – UGC F]

…恍惚。

LINEで送る
Pocket

 - パトリス・ルコント , , , , ,

  こちらもおすすめ