きみに読む物語 | 眩しすぎる純愛
一途な愛情を描くストレートなラブロマンス
『きみに読む物語』(The Notebook/2004/アメリカ)
監督:ニック・カサヴェテス 出演者:ライアン・ゴズリング、レイチェル・マクアダムス、ジーナ・ローランズ、ジェームズ・ガーナー
ここまで深く愛することができるんだ。
原題は『The Notebook』というタイトルですが、邦題で『きみに読む物語』と付けたのは素晴らしいです。このタイトルによって、本作の魅力は3割増ぐらいになっている気がしますね。”身分違いの恋”や、”忘れることのできない初恋”、などのベタベタなラブロマンス要素を盛り込みながらこの映画で描かれているのは、実は恋愛模様ではなく愛情でした。
あらすじ:ある男がある恋の物語を女性に読み聞かせます。
アルツハイマーの初老の女性(ジーナ・ローランズ)に、ある物語を語って聞かせるデューク(ジェームズ・ガーナー)。物語の舞台は1940年。夏の間だけ田舎に来ていた17歳のアリー(レイチェル・マクアダムス)と地元の青年ノア(ライアン・ゴズリング)の恋の物語でした。
- ロマンチックな映像美
- 主役も脇役もキャラクターが良かった
- ノアの深い愛情に胸を打たれます
この映画は、物語の中で物語を読み聞かせるという、2重構造になっています。読み聞かせる物語の中で描かれている2人の恋は、キラキラと輝いていて、大げさなくらい美しく眩しいです。実際うっとりとしてしまうほどロマンチックな映像美なんだけど、美しければ美しいほどリアリティがなく、それは幻想かすでに失われたもののような気がして切なくなりました。それこそがこの映画の仕掛けでもあるわけなんだけど。
脇役も含めてみんなキャラクターが良く、ドラマとしてしっかり楽しめます。主人公の2人は特に魅力的でした。お転婆なお嬢様・アリーはよく笑って可愛くチャーミング。ノアは、貧しいけど心が豊かでユニークな青年。等身大でまっすぐな愛情をアリーに注ぎます。
ノアは自分のやり方で彼女を愛します。多少頑固な面があるものの、死ぬまで一途な愛情を貫く純愛っぷりには心を打たれました。人ってここまで深く愛することができるんだ(愛していいんだ)という希望を感じて、切なくも素敵なラストシーンでした。
[Photo: © 2004 New Line Productions, Inc.]
泣きすぎてデトックス効果ありそう。