ル・アーヴルの靴みがき | 世界、愛せそう
映画として完璧なハッピーエンディング
『ル・アーヴルの靴みがき』(Le Havre/2011/フィンランド・フランス・ドイツ)
監督:アキ・カウリスマキ 出演:アンドレ・ウィルム、カティ・オウティネン、ジャン=ピエール・ダルッサン
みんなそれぞれに優しい。
幸せな映画でした。なんだかんだ言いながらみんな良い人なんだよね。ストレートじゃないかもしれないけど、登場人物がみんなそれぞれオリジナルの優しさを持っていてほんのり心が温まります。ラストがとても良かったです。超すきです、こんなハッピーエンド。
あらすじ:靴磨きのおやじがピュアに頑張っていたら色んな奇跡が起きました。
フランスの港町ル・アーヴルで靴磨きをして生きるおやじ、マルセル・マルクス(アンドレ・ウィルム)。自慢の女房アルレッティ(カティ・オウティネン)と暮らす毎日は豊かではないけど幸福です。ある日マルセルは、アフリカからの不法難民の少年イドリッサ(フロンダン・ミゲル)と港で出会います。そしてマルセルは彼をかくまうことになりますが、そのころ妻アルレッティは病院で不治の病を宣告されてしまいます。
- 素朴で慎ましやかなカウリスマキ節
- 一癖あるキャラクターたち
- ラストが良い
これは奇跡の映画です。庶民が愛と善意で奇跡を起こす映画です。…なんて言うと途端に胡散臭くなるけど、カウリスマキ監督にかかるとこんなに素朴で慎ましやかに。語りすぎずに伝える感じが本当に素晴らしいなぁ。近所の住民とのやり取りが微笑ましいです。またこの映画では「不法難民」という難しい社会問題を扱っていますが、主に描かれているのは難民の少年とおやじの心の交流。大きなテーマでミニマルな世界を描くのがカウリスマキ流という感じですね。
自分の力ではどうしようもない問題が現実にたくさんあることを知ってしまって、いつの間にか色々なことを素直に信じることが出来なくなってしまっていたと、このピュアなおやじを見て気付きました。世知辛い世の中にあってはこんな話は非現実的かもしれないけど、映画の中では夢のような奇跡が起こっても構わないよね。それが人々の愛や善意で起こされるならこんなに素敵なことってないよね。観終わったあとは心が洗われたようでした。こんな世界なら愛せそうかなーと。
[Photo: © 2011 Sputnik Oy photographer: Marja-Leena Hukkanen]
超すきです。
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