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まほろ駅前多田便利軒 | ずっと観ていたくなるコンビ

脱力系ハードボイルド

まほろ駅前多田便利軒

まほろ駅前多田便利軒』(2011/日本)
監督:大森立嗣 出演:瑛太、松田龍平、高良健吾、本上まなみ、大森南朋

「誰かに必要とされるってことは誰かの希望になるってことでしょ」

まほろ市という架空の都市を舞台に便利屋多田と同級生の行天コンビの日常を描きます。ほのぼの系かと思いきや、案外ハードボイルドなのです。見るからに不健康そうな生活とかいつの間にか芽生えた信頼とか言葉にしなくても伝わる男の友情とか、全編から漂ってくる男臭さにグッときます。

まほろ駅前多田便利軒
あらすじ:まほろで便利屋を営む多田と行天コンビがよく事件に巻き込まれます。

まほろ市は東京から神奈川へ突き出るように位置する適度に田舎な街。駅前で便利屋を営むバツイチ男・多田啓介(瑛太)はある年の正月に偶然、中学時代の同級生・行天春彦(松田龍平)に再会します。それからなぜか多田と行天の共同生活が始まり、ふたりはコンビで便利屋の様々な依頼を受けることに。思わぬ事件に巻き込まれながらも次第に心を通わせていく2人の1年間の物語。


見どころ
  • 男臭さとゆるさが絶妙
  • 心に突き刺さる名台詞多し
  • 物語が終わっても淡々と続いていくであろう生活を想像して楽しむ

いやぁ、ゆるい。のんきな状況じゃないのにのんきなんだよ。それに全体に脱力感を与えている大きな要因は行天のキャラクターそのものでしょう。彼は風変わりでマイペースでつかみ所がない。つまり変人です。けど鋭いことをさらっと言うんだよな。「誰かに必要とされるってことは誰かの希望になるってことでしょ」前半で行天が多田に言う言葉です。誰かにとっては義務でしかないものが誰かにとっては希望になり得る。ストレートで純粋で素直、行天ってこういう人なんです。

多田も行天も実は複雑な過去を抱えていて、物語の中で徐々に明らかになっていきます。許されたい、許したい、救われたい、そう願いながらもどうにもできずに自分自身に縛られて生きています。「人を助けても自分を救うことにはならないよ」という刑事の言葉がありましたが、本当にそうかな。1年経って何も変わらないように見える2人ですが、何かが確実に変わったようにも見えました。

物語は終わるけど日常はまだまだ続くよ、みたいな雰囲気の終わり方が良いなぁ。原作は映画とTVドラマ(『まほろ駅前番外地』)を見たあとで2冊読んだのですが、読み終わってもまだ読んでいたい、ずっと読んでいたいという気持ちになりました。願わくば「寅さん」や「釣りバカ」みたいに「まほろ」もずーっと続いて欲しい!

[Photo: © 2011「まほろ駅前多田便利軒」製作委員会]

ずっと読んでいたい。

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