Mommy マミー | 正方形の映画
特殊なようで普遍的な母子の愛情のかたち
『Mommy マミー』(Mommy/2014/カナダ)
監督:グザヴィエ・ドラン 出演者:アンヌ・ドルバル、スザンヌ・クレマン、アントワン=オリビエ・ピロン
恋人のようなふたりでした。
この映画、スクリーンが1:1なんです。つまり正方形。知らずに観たので最初は混乱しました。なんか狭いなって。不思議な感じです。見るというより、もっと能動的にぐいっと覗き込んでいるような感じになります。そこに曖昧な部分はなく、観客は四角に切り取られた物語のすべてを目撃することになります。
あらすじ:ADHDの息子と向き合う母親の物語。
(架空の)カナダで可決されたS-14法案。その内容は、発達障害児の親が経済的困窮や身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに養育を放棄し施設に入院させる権利を保障するというものでした。ダイアン・デュプレ(アンヌ・ドルヴァル)は、施設から退所してきた15歳の息子・スティーヴ(アントワン=オリヴィエ・ピロン)とふたり暮らしを始めます。スティーヴはADHD(多動性障害)を抱えていたのです。そして、隣の家に住む休職中の高校教師・カイラ(スザンヌ・クレマン)。諸々の問題はありながらも、3人は愛情と友情に満ちた楽しい生活を送ります。しかしそれは長続きするものではなく…。
- 正方形のスクリーン
- 音楽の使い方が良かった
- 『Wonderwall』が流れるあのシーンは見逃すな!
音楽との親和性が高い映画です。ダイとスティーヴとカイラ、3人が仲良くなるパーティーのシーンでの音楽の使い方もすごく印象的。それになんといっても、いたずらっ子なスティーヴがスケボーに乗って車道を疾走するシーンで流れるOasisの『Wonderwall』が素晴らしい!息苦しい世界から解放され、自由な世界への扉をこじ開けるようにスティーヴ両手を伸ばした瞬間………!あの演出にはやられました。映画のいちばんの見どころだと思うので詳細は書きません。鑑賞したときに是非実感してもらいたいです。
「僕たち、まだ愛し合ってるよね」「私たちにはそれしかないじゃない」という母子の台詞がとても良かったな。ほんとうに恋人のようなふたりでした。一見特殊なようでいて、実は普遍的な愛情を描いた物語。そんな印象の映画でした。ところで「特殊なようで普遍的」というのはこの映画自体にも言えることかもしれません。1:1のスクリーンという奇抜な手法を取りながらも、そこに描かれているテーマは家族愛。ただ、グザヴィエ・ドランの瑞々しい感性はクセになりそうです。
そういえば、後半空想の未来の中で成長したスティーヴを演じていたのはドラン自身だったような気がするのですが、調べてもよくわかりませんでした。気になる。
[Photo: © 2014 une filiale de Metafilms inc.]
こちらも母子がテーマのグザヴィエ・ドランのデビュー作。
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