CINEMA MOND【シネマモンド】

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天才スピヴェット | 飛び出す絵本みたいな映画

ファンタジックな映像で描く家族の絆

天才スピヴェット

天才スピヴェット』(The Young and Prodigious T.S. Spivet/2014/フランス、カナダ)
監督:ジャン=ピエール・ジュネ 出演者:カイル・キャトレット、ヘレナ・ボナム=カーター、ジュディ・ディヴィス

ビジュアル的には超楽しい。

2Dで鑑賞しました。(そもそも3Dがあるのを知らなかった…。)”少年版『アメリ』”という触れ込みで宣伝されてましたが、うーん、空想の映像化や家族紹介の語り、犬が突然しゃべりだしたり、確かに『アメリ』っぽい雰囲気はあるけど、それは外面的なものに限ってのことで本質的には全く異なるものでした。綺麗な風景と合成満載のファンタジックな映像でビジュアル的には超楽しいです。飛び出す絵本を見ている感じ。

天才スピヴェット
あらすじ:天才科学者の家出少年がアメリカ大陸横断の旅に出ます。

アメリカ北西部モンタナに住むちょっと変だけど幸せな家族の物語。牧場を営むカーボーイの父(カラム・キース・レニー)、虫を愛する昆虫博士の母(ヘレナ・ボナム=カーター)、アイドルを夢見る姉(ニーアム・ウィルソン)、そしてスピヴェット(カイル・キャトレット)とレイトン(ジェイコブ・デイヴィーズ)の双子の兄弟。弟のレイトンが事故で死んでしまってからは家族みんな悲しみに暮れていました。実はスピヴェットは10歳にして天才科学者だけど、まわりの大人は誰も理解してくれません。そんなある日、スミソニアン学術協会から、スピヴェットの発明がベアード賞(最も優れた発明に贈られる)を獲得したとの連絡がありました。彼はワシントンDCで開かれる授賞式に出席するため家出を決意します。


見どころ
  • わくわくする仕掛け映像
  • ヘレナ・ボナム=カーターのおちゃめな変人っぷり
  • フランス人が作ったアメリカ映画という不思議な世界観

数年前に本屋で偶然見つけた、この映画の原作本(『T・S・スピヴェット君 傑作集』)が非常に面白い作りで覚えてました。そこには大量の図表や精細な設計図が載っていてわくわくしたのを思い出します。そのわくわく感を今回、鬼才ジュネ監督が見事映像化したというわけなんですが、ファンタジックな外面と相反して、内容が現実的すぎるというかこじんまりとしているというか…地味?これはおそらく原作のストーリーそのものの問題かと。(その原作本は結局、高価すぎて買えずじまいだったのでまだ原作読んでないんです。)

というわけで、子どもでも楽しめる映画かというと微妙な感じです。内容についていけるかどうかというところですね。先述したようにビジュアル的には超楽しいので、感覚的には楽しめそう。主役の男の子は健気で超可愛い。お母さん役のヘレナ・ボナム=カーターも良かった。美人なんだけどファニーな役が似合うなあ。変人っぷりが見事にハマってます。

個人的には全体的にもうちょっと毒があっても良かったなーと思いました。とびきり美しいと同時にちょっと奇妙だったり、うす気味悪かったり、毒があったりするところがジュネ監督の魅力だと思うので。同じく子どもが主人公の『ロスト・チルドレン』はもっとダークでしたね。

ところで、スピヴェット君がヒッチハイクして乗せてもらうトラックがデコトラっぽくてちょっとびっくり。日本以外にもデコトラってあるんだなあ。この映画はフランス人が作ったアメリカが舞台の映画ってことで不思議な世界観がありますね。

[Photo: © 2013 ÉPITHÈTE FILMS – TAPIOCA FILMS – FILMARTO – GAUMONT – FRANCE 2 CINÉMA]

パラパラながめるだけで楽しい!

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