CINEMA MOND【シネマモンド】

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ヴィオレッタ | 美しさの裏にあるもの

少女ヌードモデルとしての自身の体験をもとにした自伝的映画

ヴィオレッタ

ヴィオレッタ』(My Little Princess/2011/フランス)
監督:エヴァ・イオネスコ 出演者:イザベル・ユペール、アナマリア・ヴァルトロメイ、ドニ・ラヴァン

いろいろと衝撃でした。

史上最年少でPLAYBOYに載った少女」として知られるエヴァ・イオネスコが自ら監督を務めた自伝的映画です。母親が娘のヌードを撮影するという内容ゆえにカンヌ映画祭で物議を醸したという問題作。直接的な描写はないものの、退廃的で妖艶な雰囲気に満ちています。そしてなんといってもヴィオレッタを演じるアナマリア・ヴァルトロメイが美少女すぎるし、撮影当時11歳とは信じがたい色気に圧倒されます!

ヴィオレッタ

あらすじ:実の娘をモデルにヌード写真を撮る写真家の母親のおはなし。

ヴィオレッタ(アナマリア・ヴァルトロメイ)は、別室に住む母・アンナ(イザベル・ユペール)に変わって曾祖母に育てられてきました。写真家を目指すアンナは、ある日12歳のヴィオレッタを暗い自室に招き入れ、綺麗なドレスを着せて写真を撮り始めます。他愛のない遊びのように始まった撮影でしたが、いつしかエスカレートしていき、ヴィオレッタの肌の露出は多くなり表現も過激になっていきます。


見どころ
  • 新生フレンチロリータ!アナマリア・ヴァルトロメイ
  • イザベル・ユペールの狂っちゃってる演技
  • アートか?エロスか?

イザベル・ユペールドニ・ラヴァンというキャスティングがとても良いですね。とくに主役のユペールは、神経質でプライドの高いアーティスト気質な母親役がはまってました。ユペールは『ピアニスト』での狂気の演技を観て以来大好きな女優さんです。ドニ・ラヴァンカラックス映画での変人っぷりからすれば、わりと普通の役でした。(それでも十分クセのあるアーティスト役なんだけど。)

天使のような美少女が、母親との撮影を重ねながら徐々に小悪魔的に成長を遂げていくんですが、そこにあるのは一貫して母に愛されたいという想いです。それが全編通してひしひしと伝わってきます。これはきっと監督のエヴァ自身が当時抱いていた気持ちだったんだろうなあと思います。

しかし、娘を食い物にする母親に対してだんだんと怒りが湧いてきて、ヴィオレッタは今までに撮影されたネガを取り返そうとします。実際にエヴァも母親に対して損害賠償とネガの返却を求める裁判を起こしているみたいですが、問題の写真集は伝説としていまだ世に出回っており、2011年には日本語限定で復刻までされているんですね。皮肉にもこの映画を観て、彼女の写真集の存在を知る人も少なくないでしょう。それにネットに出回っているいくつかの写真を見るに、それらは確かにとても魅力的でアートとして優れていると思いました。アートとエロスの線引きとは?とか、芸術のためなら何をしてもいいのか?などの問題になるととても難しいです。

ラストではさらっと衝撃的な事実が判明します。どこまで実話なんだろう。あれはさすがに…うーん。シド・ヴィシャスとのエピソードは創作だよなあ。なかなかリアリティがあって面白かったです。「あんたは女になっていく、残念だわ」という母親の台詞がありましたが、まさに少女が女になる前の短い季節というのは、人生で最も美しい時なのかもしれないなと思います。

[Photo: © 2011 Les Productions Bagheera, France 2 Cinema, Love Streams agnes b. productions]

美少女すぎ。

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