ゼロの未来 | 未来のはずだがノスタルジック
独創的な世界のSFコメディー
『ゼロの未来』(The Zero Theorem/2013/イギリス・ルーマニア・フランス・アメリカ)
監督:テリー・ギリアム 出演者:クリストフ・ワルツ、デビッド・シューリス、メラニー・ティエリー、ルーカス・ヘッジズ、マット・デイモン
ビジュアルが楽しいっ!
テリー・ギリアムが描く近未来的ビジュアルが楽しめます。空気が悪そうで電光掲示板がチカチカしてやたらと騒々しい…チープさすら漂うちょっと古い未来像が逆にノスタルジック。こりゃ『AKIRA』とか『ブレードランナー』の世界だ!レトロフューチャーまでいかないけどなんかちょっと絶妙に古いぞ!まあこの感じ好きですけど!(というわけで、感じ方に個人差がありそうな映画です。)
あらすじ:ゼロを解明する過程で生きる意味に悩みます。
(たぶん)近未来のお話。荒廃した教会にひとりで住んでいるコンピューター技師・コーエン(クリストフ・ヴァルツ)は、大事な電話を長年待ち続けています。彼の仕事は謎の数式「ゼロの定理」を解明すること。ある日、彼はパーティーでベインスリー(メラニー・ティエリー)という女性と出会います。彼女に惹かれていくことで、孤独だった彼の人生は変わっていきます。
- ゼロってなんなんだ!
- 未来っぽいビジュアル
- 実は現代を象徴する物語
秋葉原の街にインスパイアされたという独創的なビジュアルはオープニングでたっぷり味わえます。主人公のコーエンは(まるでゲームセンターのような)会社に出勤して(端から見ればゲームをやっているようにしか見えない)コンピューター仕事をしているんですが、それが何をやってるんだかさっぱりわからなくて、初っぱなからいきなり置いてけぼりに。ど、どうしよう……。
なんかよくわかんないけど未来っぽいことをやっている。目的は「ゼロの定理」を解明することらしい。解明したらどうなるんだろう、なんのためにやっているんだろう、一体どうすれば解明できるんだろう………ストーリーが進んでも解けることのない数々の疑問。そのうち劇中でもコーエンが同じような疑問を抱くようになりラストシーンに繋がっていきます。
冒頭に書いた通りビジュアルからはノスタルジックさ(80年代風?)を感じる映画ですが、その実、上司からの無茶ぶりの連続に多大なストレスを抱え込んだり、昼夜かまわず休みなく働かせるブラック会社、人との関わりが希薄な孤独な生活だったりと、やたらと現代を象徴している部分が多いです。しかし未来になってコンピューターが発達しても人の仕事って減らないんだなあ、むしろ増えたりしたらやだなあ。…ん?けど待てよ、これって本当に未来の話?どちらかというと現代のパラレルワールドと言われた方がしっくりくるような…。
[Photo: © 2013 ASIA & EUROPE PRODUCTIONS S.A.]
シュールな世界観がスキな方にはおすすめ。
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