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共喰い | 純文学的映画

性と暴力というテーマを描き切った人間ドラマ

共喰い

共喰い』(2013/日本)
監督:青山真治 出演者:菅田将暉、木下美咲、篠原ゆき子、光石研、田中裕子

お腹にどっしりきます。

田中慎弥の芥川賞受賞小説が原作です。全編を通して映像の湿度が高いです。日差しが照りつける夏の暑さと、汗やじっとりとまとわりつくような湿り気を感じ、なんだか匂いまでが伝わってきそうな臨場感がありました。テーマが「性と暴力」とあって内容はなかなかに重いです。久しぶりにどっしりとお腹に来るような映画を観たなぁ。

共喰い
あらすじ:憎き父と同じ血が流れる自分に悩みます。

高校生の遠馬(菅田将暉)は、父親(光石研)と父の愛人(篠原友希子)と一緒に暮らしています。片腕の母親(田中裕子)は、近くで魚屋を営んでいます。父親は女に暴力をふるう男でしたが、自分にもその憎き血が流れていることを日に日に実感するようになる遠馬。そのことでガールフレンド(木下美咲)との仲も悪化していき…。


見どころ
  • 純文学的な雰囲気
  • どっしりとした見応えがあります
  • 菅田将暉の演技が良かった

原作は未読なんですが、この映画も純文学を思わせるような硬派な気高い雰囲気があります。娯楽性よりも芸術性に富んだ映画ですね。父親の最低っぷりにはもう本当に辟易させられるのですが、意外と淡々と進む展開に自然と物語の中に入り込むことができます。

息苦しささえ感じるような湿度高めの描写の中で、時おり挿入される幻想的なイメージ。それが空気の澱みを浄化させるかのように美しかったです。ラストの川の流れの映像も効果的に使用されていて良かったなあ。

菅田将暉の演技がすごく良かった!現在公開中の『海月姫』では「美人」な女装男子に扮している彼ですが、この映画ではとても男くさい高校生男子です。相手役の女の子は、原作では不美人なのかそういう台詞がありましたが、実際はすごく可愛い女の子だったので台詞にちょっと違和感…。体当たりのラブシーンは素晴らしかったです。あとはベテラン俳優陣が文句なしに素晴らしく、見応えのある映画でした。ひとりでじっくり観るのをおすすめしたいです。

[Photo: © 2013 「共喰い」製作委員会]

原作はこちら。

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