ヴァージン・スーサイズ | 彼女たちの欠片を探す
美しく残酷なガーリームービーの名作
『ヴァージン・スーサイズ』(The Virgin Suicides/1999/アメリカ)
監督:ソフィア・コッポラ 出演者:キルスティン・ダンスト、チェルシー・スウェイン、A・J・クック、ハンナ・ホール、レスリー・ヘイマン、ジョシュ・ハートネット
思春期の女の子の思考は永遠の謎。
以前おすすめサントラの記事でも紹介しましたが、音楽がとても良いし、映画自体も好きで何度も観ている映画です。けど何回観ても彼女たちの記憶はぼんやりともやがかっていて、その想いも理解するには至りません。移り気で脆くて儚い女の子たち。(男の子もか。)スキの次の瞬間にはキライになってたり、すべての行動や感情にいちいち理由なんてない。そうだったそうだった、それで自分の思春期なんかを思い出してみて到底理解なんてできないことを理解するわけです。
あらすじ:美しい姉妹たちがなにを想っていたのか、大人にも男の子たちにも分かりませんでした。
1970年代、アメリカ郊外の町に住むリズボン夫妻(ジェームズ・ウッズ、キャスリン・ターナー)と13歳から17歳までの5人姉妹の娘たち(キルスティン・ダンスト、チェルシー・スウェイン、A・J・クック、ハンナ・ホール、レスリー・ヘイマン)。同年代の男の子たちは美しい彼女たちに憧れていました。そんな6月のある日、末娘のセシリアが自殺を図ります。
- ガーリーなセンスが光ってる
- 詩的にたのしむ
- 音楽が良いよ!
大筋の物語はヘヴィーで暗いです。だけど細部に散りばめられたガーリーな要素や小洒落た演出のおかげで、映画自体はわりと可愛いイメージでまとまってます。オープニングの手描きタイトルや、ラックスが下着に好きな男の子の名前を入れてる演出もキュート。このへんのセンスはいかにも女性ならではと思うし、男性には理解されにくい部分かもしれませんね。(そういえば男の子でこの映画を好きだと言う人はあまり聞いたことがないかも。)
結末に関しても、個人的にはそこはあんまり重要ではなかったというか。行動に起こしたことよりもそれまでの気持ちの流れの方がずっと興味深くて、ティーンの女の子の不安定さみたいなものが本当にうまく映像化されているなあと思いました。確かにショッキングなストーリーではあるけど、この映画は社会派ドラマでもゴシップでもなくて、詩的な物語です。
対比としての男の子たちの身勝手さや幼さもまた、見どころです。時おり挿入される男の子たちの妄想も可愛い。「彼女たちはもう大人で、僕たちはただ騒がしいだけのガキだった・・・。」というキャッチコピーが全てを語ってくれていると思います。
パーティーの終わった後で流れる『Playground Love』は切なくてむなしくてたまりません。ああいう、人が今まさに傷ついているといったシーンを静かに美しく描けるのがソフィア・コッポラですよね。独特のリラックス感で。
[Photo: © 2007 Paramount Pictures.]
原作タイトルも良いな。
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