CINEMA MOND【シネマモンド】

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予告犯 | リアルなネット社会の映画

社会派サスペンスかと思いきや、切ない人間ドラマ

予告犯

予告犯』(2015/日本)
監督:中村義洋 出演者:生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、濱田岳、荒川良々

映画を観ているような、ネットを見ているような。

同名漫画が原作です。この映画の1年後を描いたドラマというのも同時にやってるみたいです。ネット社会をリアルに描きながら、派遣切り問題、引きこもり、臓器売買などの社会問題も絡めた内容でテーマは重め。ニコ動やTwitter(らしきもの)のコメントがスクリーン上に流れてくるので半分当事者、半分傍観者のような気持ちで観ました。

予告犯
あらすじ:新聞紙を被った男が制裁を加える様子をネット動画で予告します。

シンブンシと名乗る、新聞紙を被った謎の男(生田斗真)が「予告」動画を次々とアップします。それらは総じて誰かに制裁を加えるというもの。その相手は不祥事を起こした食品加工会社だったり、ネットで失言した個人だったり。そのシンブンシの言動にとうとう警察が動くことになります。捜査するのは警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官・吉野絵里香(戸田恵梨香)。しかしシンブンシは、捜査の目をかいくぐって予告通りに制裁を加えていき、やがてテレビでも取り上げられるような社会現象に。


見どころ
  • 胸が痛い切ない展開
  • ネット社会の描き方はリアル
  • 家での鑑賞がおすすめかも。

サスペンス的な要素はありますが、途中から登場人物たちの背景がクローズアップされドラマチックな展開に。物語は複雑でそれぞれの倫理観に問いかけるような内容です。正義と悪が単純ではなく、だれが正義でだれが悪なのかはっきりとしないしそれがリアルで悲しく切なかったです。

ネットの炎上とかにあまり馴染みのない人にはよく分からないかもしれませんが、現実に起きている事件に対してのネットでの傍観者の発言の軽さとかけっこうリアリティがありました。そういうリアルなインターネット感を出すためにネット上のコメントをテキストで表現してあるのですが、残念ながらこれが読みづらかったです。動画に流れてくるコメントは特に読みづらく、動体視力が試されます。

結論から言うと、ネットのコメントを映画で表現するのってどうやらすごく難しそうだ、ということになります。画面(スクリーン)との距離の違いや速度の違い。それから、ほとんどが視覚情報であるインターネットと同じような表現を映画でしようとすると、おそらく視覚的な表現が多すぎて疲れてしまうのではないかと。(かといって音声で読み上げるのも違うしな…)うまく言えないけど、例えばメールよりも電話をしているシーンの方がより映画的である気がする。この映画は映画館で観るよりも家でDVDなんかで観る方がしっくりくるのかもしれません。画面との距離を近くして。

[Photo: © 2015 映画「予告犯」製作委員会 © 筒井哲也/集英社]

ネット制裁コワい!

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