CINEMA MOND【シネマモンド】

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美女と野獣 | 本家フランスで新たに実写化

リアルな加減がほどよいファンタジー

美女と野獣

美女と野獣』(La Belle et La Bete/2014/フランス・ドイツ)
監督:クリストフ・ガンズ 出演者:ヴァンサン・カッセル、レア・セドゥ

この野獣、男子力が高いぞ。

試写会で観ました。公開は11/1からです。
わたしずっと思ってたんですけどアニメ版『美女と野獣』の野獣ってキャラクターとして可愛らしすぎて迫力というか獰猛さに欠けるんですよね。全然醜くない、むしろ可愛いじゃないかと。その点実写版では、獣と人間が一緒になった得体の知れない生き物が醸し出すゾッとするような気味の悪さを感じることができます。そして映像は想像どおりの美しさ!子どもたちに絵本を読み聞かせているという形で物語が進行していくのですが、本当におとぎ話の中に入ったようなファンタジックな映像で、野獣の城も森の絶景も見蕩れるほど美しい!自然信仰という点で宮崎駿アニメにも影響を受けているそうですよ。ほどよくリアルでほどよくファンタジーな映画です。

美女と野獣
あらすじ:不思議な古城に棲む野獣と勇敢な娘の恋物語。

3人の息子と3人の娘を持つ裕福な商人(アンドレ・ディソリエ)は船の沈没により財産を失い、田舎へ引っ越すことになります。みんなが不満を募らせるなか、末娘のベル(レア・セドゥ)だけは贅沢な都会の暮らしより家族一緒に居られる田舎暮らしの方が気に入っていました。ある日、吹雪に見舞われ死に瀕した商人は森の奥にある不思議な古城に迷い込みます。そこにはなんと豪勢な食事や宝がわんさか。ちょっと欲を出してしまった商人はつい庭でバラの花を摘み、怒った野獣(ヴァンサン・カッセル)に「1日だけ猶予を与えるがもし戻らなければ家族皆殺しだ」と言い渡されます。そして、家に戻った商人から事の顛末を聞いたベルは父の代わりに城へと行ってしまい…。


見どころ
  • ファンタジックで美しい映像
  • 王子が野獣になってしまった理由が分かる
  • あれ、野獣が魅力的に見えてきた

実は『美女と野獣』の実写映画化は1946年のジャン・コクトー版を始め過去にも何度かされている上に、現在もアメリカで製作が決まっているとか。近年のファンタジー実写化ブームはCGなどの技術の進歩によるものでしょうか。それから今まで知らなかったんですが、『美女と野獣』には2種類のストーリーがあるようです。ヴィルヌーヴ夫人版(1740年)と、それを短縮したボーモン夫人版(1756年)。有名なディズニーアニメの原作は後者ですが、この映画はヴィルヌーヴ夫人版を元に創作エピソードを加えて製作されたものです。

本作では王子が野獣になった理由に焦点が当てられていて、今回監督によって創作されたという野獣(王子)の過去エピソードはこの映画ならではの見どころです。映画観る前はヴァンサン・カッセルが王子ってあんまり想像がつかなかったんですが、傲慢で自信家な王子役がハマってましたね〜。野獣の姿はもちろん人間の姿も勇ましい男って感じの王子だけど、過去や内面を知るにつれてなんだか可愛く見えてくるのが面白いです。

口は悪いけど優しい。ベタに優しい。ベルが屋敷に来ると綺麗なドレスや豪勢なディナーを用意してあげる野獣。めっちゃ可愛がってるよ!オレオレ系かと思いきやツンデレ?そして時おりチラッと見せる弱さで母性をくすぐってくるあたりこの野獣、男子力が高いぞ。

一番好きだったシーンは、ベルを1日だけ家に帰すというときの2人のやり取り。「戻らなかったら」と野獣が言いかけ、「(家族)皆殺しでしょ」とベル。しかし野獣は「いや俺が死ぬ」と。はいもうキュンですよ。なんだか人間臭いんですよね。この映画に出てくるどの(人間の)登場人物よりも人間臭い。呪いを解くために愛が必要だったわけですが、それ以上にどうしようもなく愛に飢えている哀れな感じが伝わってきます。

ベル役のレア・セドゥも良かったな。芯が強そうな眼差しや凛とした佇まい、ただの美人でないところがぐっときます。あと2人のお姉さんも良い味出してて好きでした。家族で観てもデートで観ても楽しめそうな映画です。

[Photo: © 2014 ESKWAD – PATHE PRODUCTION – TF1 FILMS PRODUCTION ACHTE / NEUNTE / ZWOLFTE / ACHTZEHNTE BABELSBERG FILM GMBH – 120 FILMS]

こちらは元祖、ジャン・コクトーが作った『美女と野獣』。

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