サヴァイヴィング ライフ —夢は第二の人生— | 夢に導かれる欲望
シュヴァンクマイエルが描く”精神分析コメディー”
『サヴァイヴィング ライフ —夢は第二の人生—』(Přežít svůj život (teorie a praxe )/2010/チェコ)
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル 出演者:ヴァーツラフ・ヘルシュス、クラーラ・イソヴァー、ズザナ・クロネロヴァー
なんちゃって夢分析しながら観よう。
チェコのアニメーション作家であるヤン・シュヴァンクマイエルの長編映画です。ディープな彼の作品群の中でも、本作は比較的ポップでストーリーも分かりやすいです。冒頭でいきなり監督自らが登場。そのままぺらぺらとしゃべり始める前置きは冗談なのか本気なのか…、とにかくすでに呆気にとられてしまった。曰く、この映画は「精神分析コメディー」だそうです。まったく笑えないけどね。
あらすじ:現実がつまらない男が夢の中に楽しみを見出します。
うだつの上がらないエフジェン(ヴァーツラフ・ヘルシュス)の日々の楽しみは眠りの中で夢を見ること。ある日の夢で、エフジェニエ(クラーラ・イソヴァー)という美しい女性と出会います。その夢の内容が気になり、精神分析医のホルボヴァー医師(ダニエラ・バケロヴァー)を訪ねるエフジェン。そして夢分析によって、次第に彼の無意識が明らかに…。それと同時に、夢を操作できるようになった彼の夢と現実の境界はだんだん曖昧になっていきます。
- 切り貼りアニメーション
- 男の夢の謎を考える
- 監督自身の前置き
主人公の男が、夢と現実を行き来しているうちにだんだん境界が曖昧になっていくという話。精神分析医が出てきて、男の夢の解釈を語ったりするんですが、わたしも謎を解くように、なんちゃって夢分析しながら鑑賞しました。フロイトの夢分析やエディプスコンプレックスなど、心理学をちょっと知っているとさらに面白いかも。
シュヴァンクマイエルのアニメーションは、コマ撮りが基本的な手法なのですが、本作では役者が動いているところを静止画で連写して、それを切り貼りしてコマ撮りするという手間のかかったことをしているみたいです。(実写そのままの部分もあるけど。)さらにコラージュを加えて、独特のシュールな世界が作られています。
考えてみると「夢」というテーマは、シュールレアリストのシュヴァンクマイエルと相性が良いはず。それにしても、どこまでもアナログな人だなあ…!それから、食べ物はやっぱり最高に不味そうでしたね。(シュヴァンクマイエルは食べるということが好きではないそう。)
[Photo: © 2010 Athanor]
ハマるとクセになる。