滝を見にいく | おばちゃんが7人集まるとこうなる
ほのぼのおばちゃん観察ムービー
『滝を見にいく』(2014/日本)
監督:沖田修一 出演者:根岸遙子、安澤千草、荻野百合子、桐原三枝、川田久美子、徳納敬子、渡辺道子
「おばちゃん」のやなとこもいいとこも。
あ〜面白かった〜。7人のおばちゃんが山で迷子になって一晩過ごすってだけのシンプルな物語なんだけど、その1日の出来事のなかに様々なドラマが詰まっていました。キャストもおばちゃん7人とほか2名のみという潔さ。演技経験不問のオーディションによって選ばれたという、このおばちゃんたちが個性豊かで楽しかった。役があって役者がいるというより、その逆で出演者に合わせてキャラクターを作っていったという感じ。クスリともホロリともできる映画です。
あらすじ:おばちゃんたちが山で迷子になります。
40代以上のおばちゃん7人が参加するバスツアー。紅葉がきれいな山を登り、滝を見たあとで温泉に入る予定でした。が、先導をしていた新人のバスガイド(黒田大輔)は山道の途中で迷ってしまいます。すぐ戻ると言ってその場を離れたガイドがなかなか戻って来ないので、探しに行くことにしたおばちゃんたちですが、今度は彼女たちが道に迷ってしまいました。
- 色んなタイプのおばちゃんたち
- だんだん少女返りするおばちゃんたち
- いつのまにか深い友情で結ばれたおばちゃんたち
世の中には、色んなタイプのおばちゃんがいます。おとなしいおばちゃん、声のデカいおばちゃん、病気の話ばかりするおばちゃん、派手なおばちゃん、意外な特技を隠し持つおばちゃん、悲しみを抱えても明るく振る舞うおばちゃん、良い歳しても失恋するおばちゃん。これは「おばちゃん」という不思議な生き物を観察する映画です。
彼女たちはバスツアーに参加してたまたま乗り合わせただけなので、最初はお互いに距離があります。けど喧嘩したり和解したり、協力し合ってご飯の準備をしたり、自然の中でいつのまにか自分を解放したりしているうちに、距離が縮まっていきます。名字にさん付けで呼び合っていた名前もいつしかニックネームになり、キャッキャとはしゃいだりおしゃべりしたりしている姿は、まるで少女のようです。
弱いんだか強いんだかよくわからないけど、突然の野宿にも関わらず、あんなに美味しそうな晩ごはんを作り上げたのはさすが主婦の集まりです。たくましくてしなやか、そして繊細だったりもして、見ていて飽きないおばちゃんたちの行動。リアリティがあるからこその哀愁や切なさがあります。肝心の滝を見るシーンも、変に幻想的だったりはしない。それよりもおつかれさまという気持ちで、おばちゃんたちと一緒に感動している自分がいるんです。
映画の公式サイトを見たら、おばちゃんたちのキャラクター設定が意外と細かくてびっくりしました。本作を観終わったあとに読んでみると、あぁなるほどーと思えるのでおすすめですよ。あと、似顔絵もすっごく似てる。
[Photo: © 2014 「滝を見にいく」製作委員会]
いろいろな、おばちゃん。