8人の女たち | 女はだれでも秘密を愛でる
豪華絢爛なミュージカルミステリー劇
『8人の女たち』(8 Femmes/2002/フランス)
監督:フランソワ・オゾン 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・ユペール、エマニュエル・ベアール、ファニー・アルダン、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ダニエル・ダリュー、リュディヴィーヌ・サニエ、フィルミーヌ・リシャール
“人工的”に作られた世界を楽しむ映画。
大好きな映画です。あまりの素晴らしさに公開当時、劇場で3回見ました。フランスの大女優たちが夢のような共演というだけで凄いんですが、さらにあの女優たちが歌って踊ります!突然歌いだすのでびっくりしますが、なんかクセになる奇妙な後味があるんです。そして豪華なのはキャストだけではない!ゴージャスで華やかな舞台にカラフルでニュールックなファッション、隅から隅まで可愛いぞ!
あらすじ:密室の邸宅で殺人事件が発生。容疑者の8人の女たち、全員怪しくね?
舞台は1950年代フランスの大邸宅。クリスマスを祝うために集まってきた家族たちは大雪で家の中に閉じ込められてしまいます。さらに一家の主人が何者かに刺殺されていることが発覚。邸宅にいる容疑者、8人の女たちのうち犯人は一体だれ…?実は欲深いマミー(ダニエル・ダリュー)、欲求不満のオールドミス、オーギュスティーヌ(イザベル・ユペール)、色気むんむんのメイド、ルイーズ(エマニュエル・ベアール)などみんなどこか怪しい…。不穏な空気のなか8人それぞれの秘密(本性)が明らかになっていきます。
- フランスを代表する女優たちの共演
- さらに歌い踊る
- 衣装とセットもゴージャス
『シェルブールの雨傘』のカトリーヌ・ドヌーヴに『ピアニスト』のイザベル・ユペール、『美しき諍い女』のエマニュエル・ベアールのほか、ファニー・アルダン、ヴィルジニー・ルドワイヤン、リュディヴィーヌ・サニエと主役級のフランス女優たちが大集合。夢のように豪華なキャスティングで、それだけでも十分に見る価値ありです。
実はオマージュとして、各キャラクターには往年のハリウッド女優のイメージが重ねられているそうです。例えば、ヴィルジニー・ルドワイヤンは『麗しのサブリナ』(1954/監督:ビリー・ワイルダー)のオードリー・ヘプバーン。瑞々しい美しさが再現されていて納得。なるほど、8人全員が主役扱いの映画なのです。
この映画は”人工的”に作られた世界を楽しむ映画です。細部まで作り込まれたドールハウスのようなセット、色とりどりで派手な衣装、オーバーリアクション、突然挿入されるミュージカルシーンなど、わざと「作り物」であることを強調するような演出はまるで舞台を見ているような気分にさせます。エンターテイメントとして本当に素晴らしく最後にはスタンディングオベーションを捧げたくなる。
この作品で一気にフランソワ・オゾン好きになって他の作品も見るようになったんですが、色々な題材をユニークな切り口で描いていて面白いです。この映画も元は60年代の戯曲ですが、ミュージカル仕立てにしたことで奇妙なインパクトがあります。ミュージカル仕立てのミステリーというものをわたしは後にも先にもこの映画しか見たことがありません…!
[Photo: © 2001 Fidelite Productions-France 2 Cinema-Mars Films.]
サントラも良いよ。