舟を編む | ちょっと頑張りたくなる

味わい深い辞書編纂ドラマ

舟を編む

『舟を編む』（2013／日本）
監督：石井裕也　出演者：松田龍平、宮﨑あおい、オダギリジョー

「生きた辞書」ってこういうことか！

主人公は真面目な青年、彼の名は馬締（まじめ）。真面目すぎてもはや変人の域の彼をはじめ、職人気質の上司やチャラいけど熱い先輩などキャラが面白かった。原作は三浦しをん。彼女の小説ってどれもキャラクターに愛着が湧くんですよね。小説も読んでみたくなりました。

舟を編む
あらすじ：マジメな青年が辞書を作ります。

玄武書房の営業部に勤める馬締光也（松田龍平）。性格はかなり真面目。しかしコミュニケーション能力の低さからお荷物扱いされていました。そんな彼ですが、ある時、辞書編集部からヘッドハンティングされます。そこで、”今を生きる辞書『大渡海（だいとかい）』”を編纂することになった馬締。それは膨大な時間をかけながら、みんなで少しずつじっくりと進めていく大変な作業でした。

見どころ

キャラクターたちが愛しい
辞書編纂の奥深さ
さりげなく音楽が良い

この映画には、愛すべきキャラクターたちが繰り広げる群像劇としての面白さと、辞書編纂というあまり馴染みのない仕事を知る職業映画としての面白さがあります。

コミュニケーション力が低くて、まわりから理解されづらい馬締くんと曲者揃いの辞書編集部。物語の冒頭から気になる人物ばかりです。松田龍平は、『まほろ』の行天や、『探偵はBARにいる』シリーズで「トボケた変人キャラ」を確立させましたね。

対してヒロインの宮﨑あおいは、悪くはないけど心に引っかかる魅力もないなぁ…。『ツレがうつになりまして。』や『きいろいゾウ』を最近観たけど、どれも無難におさまってる感じでちょっともったいない気も。『青い車』とか『ラヴァーズ・キス』のヒリヒリしてみずみずしい感じ、好きだったんだけどな。

辞書編纂という仕事の、ほとんど知ることのなかった実態も面白いです。（フィクションだけど。）恋に悩む男が書く【恋】の語釈やダサいプロポーズをした男が書く【ダサい】の語釈は、生き生きとしていて楽しい。「生きた辞書」ってこういうことか！

さりげなく音楽も良かったです。ピアノの旋律が可愛くて映画に愛嬌を添えてました。石井裕也監督の映画は観終わった後に、自分もちょっとがんばってみよっかなっていう気持ちになるとこが良いな。